DNAとは

 deoxyribonucleacacid(デオキシリボ核酸)。DNAの正式名称です。
遺伝子の主成分で、実際に遺伝情報を記録するのに使われています。
DNAは非常に巨大な分子で、高分子と呼ばれています。その巨大な分子は、幅20Å(1Åは100万分の1mm)に対し、 一つの細胞にあるDNAをすべて合わせた長さが2mと非常に細長いつくりをしています。まさに見えない糸です。
DNA分子は、リン酸と糖が交互につながってできたらせんを描く2本の帯と、 塩基の足掛けでできたねじれたはしごのように右巻きのらせんを描いた構造をしていてます。 足掛けはそれぞれの帯から伸びたものが互いに対を成して連結する (できたものを塩基対といいます)形になっています。そして、このつなぎ目を境に1本ずつの帯に別れることができます。
左右の帯には、分子の形によって決められた方向があり、2本の帯はちょうどすれ違った形で向かい合っています。
実際には、ステップの片方半分をなす塩基と、リン酸と糖の分子が一つずつつながった部分でできた ヌクレオチド(nucliecotide)という単位がDNA分子を構成していて、 遺伝情報はこのヌクレオチドを1つ1つの文字として記されています。
一つのヌクレオチドの高さは3.4Åで、らせんは10ユニットで一周するようになっています。 また、ヌクレオチドの種類は塩基の部分のA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の 4種類で識別され、情報はこの配列(シークエンス)のパターンによって記されます。
塩基には大きくプリン塩基とピリミジン塩基の2種類に分かれ、前者はAとG、後者はTとCです。 プリン塩基は、5角形と6角形の二つの結晶(プリン環)でできていて、 6角形の結晶(ピリミジン環)だけのピリミジン塩基に比べて大きくなっています。
更に、塩基対の組み合わせはきちんと決まっていて、AにはTが、GにはCが 水素結合という弱い結合によって結合するようになっていて、 このような決まった組み合わせで結合したDNAの分子を相補的な2本鎖DNA、 結合せずに1本のままのものを1本鎖DNAといいます。
この形であることの利点は、まず分子を安定させること。 もう一つは、ある配列に異常があった場合に、対応する1本鎖を元に復元することができるためです。 また、細胞分裂や子孫へ遺伝子を渡す際に行われるDNAの複製にも効率が大変良いのです。




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図5:DNAの2重らせんモデル



図6:DNA塩基の分子モデル clink to large




図7:塩基の水素結合 clink to large
水素結合の形がこのように異なるため、AT、GCという固定されたペアができる。