おうし座

21時南中は1月9日で、正中高度は70°です。有名なヒヤデス、プレヤデスの2つの散開星団を含む大きな星座です。真っ赤な1等星アルデバランがおうしの目のところで輝き、幾つかの星々が小さなV字形を作って並んでいるのが目印です。シュメール時代に誕生した古い星座の一つですが、古代ギリシャではプレヤデスとヒヤデスの2星団のほうが有名だったらしく、紀元前850年ごろの詩人ホメロスは、2星団の名だけをその詩でうたっています。トレミー48星座の一つであり、黄道12星座の2番目でもあります。

フェニキアの王女エウロパは、とても美しい娘でした。大神ゼウスは一目見て心を奪われてしまい、真っ白な牡牛に姿を変えて近づきました。エウロパは、おとなしそうな牛なので、つい背中に乗ってしまいました。そのとたん牛は猛スピードで走り出し、大海原を越えてクレタ島に上陸しました。二人の間には三人の子供が生まれ、その一人ミノスはクレタ島の王様になりました。

プレヤデスの七人姉妹は、月の女神アルテミスの侍女として仕えていました。ある月の明るい晩、森の中で踊り遊んでいると、狩人オリオンが姉妹に声をかけてきました。オリオンは姉妹が好きだったのですが、彼女たちは乱暴なオリオンが嫌いで、鳩になると大あわてで逃げ出しアルテミスに助けを求めました。女神が衣のすそに隠すと、オリオンは気付かず行ってしまいました。

お酒の神様ディオニュッソスは、大神ゼウスとテーバイの王女セメーレとの間に生まれた子です。ディオニュッソスは、ゼウスの妃ヘーラ女神の目にふれぬよう、ニュッサの野の妖精ヒヤデスたちに育てられました。ヒヤデスというのは雨を降らす女たちという意味の名で、プレヤデス姉妹の異母姉妹と言われています。ヒヤデスは、のちに天に上げられ星となりました。