宗教
ヒンズー教(Hinduism)
祭式を司る階級であるバラモン占有の宗教の、祭式中心の複雑な宗教であったバラモン教が、紀元前3世紀から2世紀の仏教の隆盛に刺激されて、地方土着宗教を取り入れて新しい宗教として変貌したものがヒンズー教です。長い時間をかけて、複雑に習合した宗教なので、開祖、聖典等は存在しない。そのかわり、社会習慣、文化風習、経済活動等と深くかかわりあっている。
その最高神は、シヴァ神とヴィシュヌ神である。また、抽象的概念、プラフマンを人格化したプラフマー神を創造の神、それを維持する神として、ヴィシュヌ神、破壊の神、シヴァ神との3つの神で三神一体(トリムールテイ)説とする教えもある。

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ヴィシュヌ神 慈愛の神として知られ、心からこの神に信仰をささげるものには恩寵(プラサーダ)が授かると信じられている。神に熱烈な親愛を捧げ、その音調として解脱できるとしんじられるパクテイと呼ばれる信仰形態の中心的神格である。現在まで広くインド人の心をとらえている
シヴァ神 聖山カイラーサで静かに瞑想する苦行者の姿で表されるシヴァ神は、破壊の象徴、「荒ぶる神」として知られている。破壊の神は、再生の大前提として重要視されている。トラの皮を未に的リ、蓬髪を巻き上げ、コブラを身にまわしている。宇宙の想像と破壊を象徴する踊りを踊るとされ、舞踏の創始はナタラージャとしても有名である。
仏教(Buddhism)
仏教の開祖、ゴータマ ブッダは、紀元前5世紀頃、インドとネパールの国境近くのルンビニに、シャーカ族の王子として生まれた。仏教の成立は、形式を重んじたバラモン教に対する懐疑に端を発しているといえよう。ブッダは、人生の苦悩から逃れる道を求めた。現在のインド仏教徒とは、ヒンズー教から回収した人たちがちゅうしんである。インド中西部のマハーラーシュトラ州を中心に信徒の数は増えていて、インド総人口の0.7%を閉めている。また、ラダックやシッキムなどヒマラヤ山間部では、チベット仏教が篤く信仰されている。
キリスト教
インドへのキリスト教伝来は、キリスト十二誌とのひとりであるシリアの聖トーマスが、起源52年に南インドの西海岸にキリスト教を広めたといわれている。1498年ころから、ゴアやコーチンを中心に、下層カーストへの布教がおこなわれた。フランシスコ ザビエルの働きは、注目される。さらに、17世紀には、インドが東インド貿易の主権を手にし、同時にプロテスタントも紹介された。
キリスト教(Christianity)
キリスト教信者は世界でもっとも多く、インドでのキリスト教の起源は南部からとされている。キリストの使徒St.トーマスによると、インドのケレラにAD52にキリスト教がもたらされ、 そこから各地に広まっていったとされる。現在、カトリックとプロテスタントあわせて2200万人のキリスト教徒がインドにいる。
ゾロアスター教(Zoroastrianism)
8世紀にペルシアのアラブ人侵攻から逃れてインドに亡命したゾロアスター教徒が、現在はグジャラート州、ムンバイに集中して住んでいる。およそ8万人程度ではあるが、結束が固く、相互扶助も徹底しており貧者がすくない。教育水準も高く、事業などの成功者も多い。唯一神、かつ創造主であるアブーラ マズダを日を媒介として信仰する、古代ペルシアの宗教である。古代イランの聖人、ザラトストラによって布教されたとされ、「アヴェスタ」を聖典とする。
イスラム教(Islam)
イスラム教は6世紀にモハメッドが起こした宗教で、唯一絶対の神、アラーを崇拝する一神教である。コーランを聖典とし、ナマーズという礼拝を一日にメッカのほうを向いて5回行う。イスラムの競技は6つの信(イーマーン)と5つの行(イバーダート)に要約される。イスラム教徒は輪廻支障を信じない。彼らは肉体が滅んだ後も魂が存在し、神の前で最後の審判を受けると信じている。最後の審判に備えて、人は現世で得を積むように教えられる。また、豚を穢れたものとして忌み嫌う。飲酒、禁煙もタブーである。
インド総人口の一割強を占めるイスラム教徒は、シーア派とスンナ派に分けられる。インドではスンナ派がほとんどをしめる。イスラム教徒のインド侵入は、8世紀頃にさかのぼる。海上ルートからアラブ商人を通じてもたらされた。当時「マーピラ」と呼ばれるイスラムのコミュニテイが形成された。やたげ、11世紀着たインドに侵略したイスラム教徒は、武力によって略奪、破壊行為を繰りかえし、人々の生活を脅かした。13世紀になり、トルコ系の奴隷王朝によるイスラム王朝がインドに出来、その後1857年にムガール帝国が滅びるまでの650年間、インドはイスラムの支配となる。
インドにおいては、イスラムがヒンズー文化に対して影響を与えると共に、ヒンズー文化もイスラムから大きな影響を受けた。イスラム教徒の祭りや生活習慣には、特にヒンズー教の影響が多く見られる。
ユダヤ教(Judaism)
インドではごく少数であるが、ユダヤ教徒は、特にケーララ州のコーチンやムンバイなどの限られた居住区に生活している。彼らは、シナゴーグに通い、その祭壇には、ヘブライ語の「旧約聖書」が収められている。ヘブライ語を儀礼用語として保持し、独自の文化を守って暮らしている。
スーフィイズム(Sufism)
イスラム神秘主義。イスラム哲学からうまれる。神に近付くための実践のための集団を形成する。
シーク教(Sikhism)
開祖ナーナクがビンズ教とイスラム教の統合を目指して興した宗教である。シークとは、グル〈師〉に対する、弟子という意味である。唯一の神、グルに対して、万民は弟子であるという姿勢をとる。開祖を含めて10人のグルがいて、4代以降は世襲である。
その聖典は、「グラント サーヒブ」であり、寺院に当たるグルドワーラーには、聖典の写本が置かれている。
総本山はアムリトサルにあるゴールデンテンプルである。その教義は、神は唯一永遠の存在であり、すべての創造主であり、宇宙も彼から生じているとするものである。ただ、シーク教の神は、名前をもたない。人間の最終目標は、輪廻の鎖を断ち切って、神と統合し解脱することである。彼らは、刃物を体にあてることをタブーとしているため、頭にはターバンを巻いている。
インドの約22%を占める彼らは、パンジャブ地方を中心に、インド全域で様々な職についている。
ジャイナ教(Jainism)
ジャイナ教の開祖ヴァルダマーナは、仏教の開祖と同時期の人である。彼は、マハーヴィーラ、ジナと尊称される。マハーヴィーラの前に23人の祖師がいて、彼は24代で最後の祖師でもある。
ジャイナ教は、徹底した、不殺生戒と厳しい苦行、禁欲主義でしられる。生き物は皆同一の本性を有するため、殺生は不可能と説く。ジャイナ教では、神の存在をみとめない。