自然哲学

・イオニア学派

最初にギリシアのミレトスに現れた哲学者達。自然哲学者の祖。宗教から離れ、自然を観察し、自然の営みを解き明かそうとした。主な研究題材は「万物を構成する元素について」である。

代表的哲学者にタレス(B.C.624〜546)、アナクシマンドロス(B.C.610〜547)、アナクシメネス(B.C.570〜525)がいる。

・エレア学派

イオニア学派が万物の元素を解き明かそうとしたのに対して、その元素はどのようにして変化し全く別のものになるのか、という「変化の問題」に取り組んだ。南イタリアにあったギリシアの植民地エレアにて起こる。代表的哲学者はパルメニデス(B.C.540〜480)。

また、パルメニデスと同時期の自然哲学者としてヘラクレイトス(B.C.540〜480)が居り、この二人の思想から独自の見解を導き出したのがエンペドクレス(B.C.494〜434)。同様にアテナイではアナクサゴラスと言う自然哲学者が現れる。

最後の自然哲学者と呼ばれるのがデモクリトス(B.C.460〜370)。エーゲ諸島北のアデブラという港町に生まれる。彼の「原子論」によって、自然哲学は一応の結果を得る。

古代ギリシア哲学

  • ソフィスト

人間と、社会の中での人間のありように関心を寄せる。弁論術を駆使し、職業教師とも呼ばれる。広く旅をしていろいろな政治を見て回った経験を踏まえて、何が自然に由来し、何が社会によって形作られるのかを議論し、都市国家アテナイでの社会批判の基礎を築いた。また、人間には哲学の問いの答えを見つけることなど出来ないという「懐疑主義」であった。代表的ソフィストはプロタゴラス(B.C.487〜420)。

  • アテナイの哲学者達

ソクラテス(B.C.470〜399)を始めとし、その弟子であるプラトン(B.C.427〜347)、さらにプラトンのアカデメイアで学んだアリストテレス(B.C.384〜322)と続く。

ソクラテスは人間の営みには永遠不変の掟があるとしてソフィストを批判した。プラトンもまたその思想を受け継ぎ、その永遠不変の雛型の事を「イデア」と呼んだ。しかしアリストテレスはイデア説を批判し、人は経験によって物の特性を見極めるのだとした。

彼らの共通の研究題材は「永遠不変のものとは」及び「よく生きる」ということである。

彼ら三人の哲学者は後の哲学に非常に大きな影響を及ぼした。

ヘレニズム哲学

  • キュニコス学派

B.C.400頃にアテナイでソクラテスの弟子アンティステネスによって始められる。

真の幸せとは物質的な贅沢や権力等とは全く関係が無いのだと説いた。また、健康のために心を煩わせる必要も無い、と言った。代表的哲学者にアンティステネスの弟子ディオゲネスがいる。

  • ストア派

キュニコス学派に影響を受け、B.C.300頃にアテナイで起こる。創始者はキプロス島出身のゼノン。一人ひとりの人間は世界のミニチュアであるという、普遍妥当の自然法につながる考え方をした。あるのはただ一つの物質だけだという「一元論」を唱えた世界市民主義者たちであった。また、運命論者であり、禁欲主義者であった。物質的贅沢から自由になることでいい人生を送れると説く。代表的哲学者はキケロ(B.C.106〜43)、セネカ(B.C.4〜A.C.65)、マルクス・アウレリウス・アントニヌス(A.C.121〜180)。

  • エピクロス派

いわゆる快楽主義者。出来るだけたくさんの感覚的楽しみを手に入れることを人生の目的とするアリスティッポスの快楽主義の倫理をデモクリトスの原子論に結び付け、エピクロス(B.C.341〜270)がB.C.300頃に開始。ただし、エピクロスが単なる物質的快楽のみならず精神的快楽、例えば宗教や芸術の快楽も必要であるとしたのに対し、エピクロス死後のエピクロス学派の人々は一面的快楽追及に走り、快楽至上主義者となったものが多い。

  • 新プラトン学派

プラトンのイデア説に影響された一派。キリスト教神学に強い影響を及ぼした。代表的哲学者はアレクサンドリア出身で後ローマに渡ったプロティノス(A.C.204〜269)で、世界は二つの極の間に張り渡されており、一つの極には「神」の光があり魂を照らすが、もう一つの極には届かず、闇すなわち物質が支配するとした。後のアウグスティヌスもこの学派に含まれる。