自然主義

  • 自然主義

19世紀半ばから現代に至る思想。人間を含む自然や感覚世界のほかには現実を受け入れない、とする考え。自然、環境、歴史、進化、成長をキーワードとする。広い意味で、マルクス主義やダーウィンの進化論、フロイトの精神分析もこの中に含まれる。

マルクスの友人フリードリヒ・エンゲルスは「ダーウィンが有機体の進化の理論を発見したように、マルクスは人類史の進化の理論を発見した」と書いた。また、フロイトは、「ダーウィンの進化論は自分の精神分析と同じように、人類の『素朴な自己愛』にメスを入れた」と言っている。

マルクス主義とは、名前の通り、哲学者であると同時に歴史学者、社会学者、経済学者でもあったカール・マルクス(A.C.1818〜1883)の思想。人間の意識は物質的下部構造の産物だ、とした。また、資本主義を批判し、社会主義を提唱した。20世紀にはレーニン、スターリン、毛沢東など、多くのマルクス主義者が現れた。

チャールズ・ダーウィン(A.C.1809〜1882)は生物学者で博物学者。聖書の人間観を否定し、人間は長い生物学的な進化の結果だ、と言った。当初イギリスで最も危険な思想とされたこの進化論は、最終的には偉大な発見であったと認められた。

ジークムント・フロイト(A.C.1856〜1939)は精神科医であったが、広い意味で哲学者と言って良いだろう。フロイトは無意識に潜む本能や欲望と夢や精神障害との関係を明らかにした、深層心理学の祖である。フロイト著の「夢判断」は有名。このフロイトの精神分析は芸術・文学方面に超現実主義と呼ばれる傾向を生み出した。

現代哲学

  • 20世紀の哲学

20世紀には実に様々な哲学が存在する。代表的なものだけでも「実存主義」「新トマス主義」「新マルクス主義」「分析哲学」「ネオダーウィニズム」「唯物論」と多くの思想が挙げられる。また、フリードリヒ・ニーチェ(A.C.1844〜1900)やマルティン・ハイデッガー(A.C.1889〜1976),ジャン・ポール・サルトル(A.C.1905〜1980)等をはじめとし、実に多くの思想家が存在したのが、20世紀である。重要な哲学の流れとしては、エコロジーが取り上げられる。環境問題は現代の深刻な問題の一つである。また、現代はITによって世界中の人々が結ばれ、丸々一つの惑星文明を生きている時代である。歴史が急速に動き、世界が一つにまとまっていく中で、哲学は新しい世界についての様々な問いを我々に投げかけているのである。