哲学的な考え方

哲学の語源はギリシア語の「フィロソフィア」、つまり「知を愛する」という意味です。したがって、古代ギリシアにおいては、真理を探究する哲学とは、正しい生き方とは何かとか、社会(ポリス)においてよりよい生活を実現するために必要な徳とは何か、といった問題を明らかにすることを目指した学問であったといえるでしょう。

古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、「ソクラテス以上に賢いものはいない」というデルフォイの神託を受けました。これを聞いてソクラテスは驚き、その神託が正しいのか確かめることにしました。自他ともに知恵があると認めている人々のもとを訪れ、彼らと対話していくなかで、神託の真偽を図ろうとしたのです。しかし、彼等は自分では何でも知っていると言いつつも実際は何も知りませんでした。彼等はソクラテスとの対話の中で自分の論点の矛盾を暴き出され、民衆の前で恥をかかされることとなりました。そこでソクラテスはデルフォイの神託は正しかったと認め、自分が彼等より優れている点は自分が何も知らないと自覚していることだと気づきました。彼はこれを「無知の知」と呼びました。そして、まさにこの「無知の知」こそが哲学的思考に必要不可欠な条件でした。

要するに、哲学とは、人間が自分の無知を自覚して、自然や人間や社会などについての正しい知識を追求することによって、人生にとっての根本的な疑問に答えようとする学問なのです。

このことから、哲学的な考え方とは、私達が正しい知識を習得し、何が自由で、何が正しい生き方であるかを考え、よりよい社会の実現を目指すための思考であるといえるでしょう。したがって、この哲学的な考え方は、事実を客観的に解明しようとする科学的な考え方とともに、人間が生きていく上で非常に重要なものなのです。