+ カ ム パ ネ ル ラ + |
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十字になった町のかどを、まがろうとしましたら、向うの橋へ行く方の雑貨店の前で、六七人の生徒らが、めいめい烏瓜の燈火を持ってやって来るのを見ました。ジョバンニの同級の子供らだったのです。 |
「川へ行くの。」 ジョバンニが云おうとして、少しのどがつまったように思ったとき、 「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」 さっきのザネリがまた叫びました。 「ジョバンニ、らっこの上着が来るよ。」 すぐみんなが、続いて叫びました。 ジョバンニはまっ赤になって、もう歩いているかもわからず、急いで行きすぎようとしましたら、そのなかにカムパネルラが居たのです。カムパネルラは気の毒そうに、だまって少しわらって、怒らないだろうかというようにジョバンニの方を見ていました。 ジョバンニは、なんとも云えずさびしくなって、いきなり走り出しました。 |