新世界交響楽はいよいよはっきり地平線のはてから湧きそのまっ黒な野原のなかを一人のインデアンが小さな弓に矢を番えて一目散に汽車を追って来るのでした。 「あら、インデアンですよ。インデアンですよ。ごらんなさい。」 「走って来るわ、あら、走って来るわ。追いかけているんでしょう。」 「いいえ、汽車を追ってるんじゃないんですよ。猟をするか踊るかしてるんですよ。」 にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ倒れるようになりインデアンはぴたっと立ちどまってすばやく弓を空にひきました。そこから一羽の鶴がふらふらと落ちて来てまた走り出したインデアンの大きくひろげた両手に落ちこみました。 インデアンはうれしそうに立ってわらいました。 |
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