登場人物別 せりふ
タダシ
ジョバンニの切符
「ぼくおおねえさんのとこへ行くんだよう。」
「うん、だけど僕、船に乗らなけぁよかったなあ。」
「ああぼくいまお母さんの夢をみていたよ。お母さんがね立派な戸棚や本のあるとこに居てね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼくおっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか云ったら眼がさめちゃった。ああここさっきの汽車のなかだねえ。」
「ありがとうおじさん。おや、かおるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん。」
「あれきっと双子のお星さまのお宮だよ。」
「ぼくも知ってらい。双子のお星さまが野原へ遊びにでてからすと喧嘩したんだろう。」
「それから彗星がギーギーフーギーギーフーて云って来たねえ。」
「いま海へ行ってらあ。」
「そうそう。ぼく知ってらあ、ぼくおはなししよう。」
「ケンタウル露をふらせ。」
「ボール投げなら僕決してはずさない。」
「僕も少し汽車へ乗ってるんだよ。」
「厭だい。僕もう少し汽車へ乗ってから行くんだい。」
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