ア ン コ ー ル    

カ ン ボ ジ ア の 内 戦 の 爪 あ と が 残 る 危 険 遺 産

アンコールはアンコール・ワット、アンコール・トムという大きな寺院からできている、カンボジア王国の権威の象徴としてつくられた遺跡である。カンボジア王国というのは、約1100年ほど前から栄えていた王朝である。アンコールは、その王朝の都があった場所だ。しかし、約600年ほど前にタイにあるアユタヤ王朝によって滅ぼされてしまった。

アンコール・ワットは、ヒンドゥー教の大寺院で、周りには大海に見立てた水掘、境内の中はヒマラヤ連峰に見立てた三重の回廊と、神々の住む山、須弥山(しゅみせん)に見立てた5つの尖塔がある。壁にはヒンドゥー教の神話が浮き彫りされていて、なかには、アンコール・ワットを作った、スーリャヴァルマンU世を彫られている。

アンコール・トムはカンボジア王国の都で、周りを水掘で囲まれている。ヒンドゥー教ではあったが、アンコール・トムを作った、ジャヤヴァルマンZ世は仏教を信仰していたため、中心にある寺院バイヨンは仏陀をまつっている。中には、50ほどの仏顔塔がある。
この都に入るには5つの門があり、その中の1つ南大門にある塔には、四面に仏陀の顔があり、高さは23mにもなる。また、タイのスコタイ同様、王の力の象徴である象が王宮のテラスに彫ってある。

この遺跡は、カンボジアの内戦により、いたみがひどくなっている。そのため、危険遺産のひとつといわれている。戦争によって壊されてしまった遺産は、元に戻ることはない。いま、専門家を中心とした、修復作業がはじめられている。1992年に登録された。

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