ス ン ダ ル バ ン ス 国 立 公 園    

広 大 な 土 地 に   ト ラ と 人 と の   厳 し い 生 活 が み え る

ヒマラヤ山脈の雪解け水の流れるガンジス川とブラフマプトラ川。それはベンガル湾にまで達し、その河口にあるのがスンダルバンス国立公園である。

この国立公園は、なんと25万8500ヘクタールという広大な土地で、世界最大のマングローブ林が広がる。
デルタ(三角州)地帯は、隣の国のバングラデシュまで及ぶ。
そこは野鳥、魚類、ワニなどの爬虫類、哺乳類が数多く生息している。
その頂点にいるのがベンガルドラである。マングローブ林でトラがすんでいるのは世界で唯一個々スンダルバンスだけだ。
最強といわれるトラも、一時は絶滅するのではないかといわれたこともある。
毛皮目当てなどの乱獲により、その数は1972年にはインドで1800頭しかいなかった。
しかし、その後国家事業として「プロジェクト・タイガー」が開始され、その数は順調に増え続けている。

トラがすむ国立公園。つまり、そこに人間への危険性が生まれるのは仕方のないことだった。
中心都市カルカッタからも近いこの場所で、加えてトラを殺すことは重大な罪とされた。
見学するときにトラを見たらそのときは死ぬときだ、とも伝えられた。公園内に入って死んでしまう人は、1975年から83年まで、年間平均45人ほどに上った。
その後公園内に入る場合はお面をつけるという対策がなされ、その死亡数は半減したという。
貧しい漁民の多いこの地域で、トラと人々の厳しい共存関係は続く。

1987年に登録された。

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