ビ ブ ロ ス    

聖 書 の 語 源 と な っ た と い わ れ る   地 中 海 の 見 え る 遺 跡 群

約7千年前の石器時代の暮らしの跡が残るビブロス。そこは、今ではジュバイルと呼ばれている。地中海の見える、穏やかな町である。すぐに、十字軍の要塞が目に入る。

ビブロスは、紀元前3千年ごろから、都市として発展した。そのころ、フェニキア人はビブロスからレバノン杉などを輸出し、パピルスなどを仕入れていた。その過程により、紙を作り、ギリシアや東方地方に供給していたのだ。
そのことから、ギリシア語で書物と言う意味のビブロスは、「バイブル」=聖書の語源の地だと言われている。
エジプトのファラオなどからの捧げ物を収める神殿が次々に作られ、レバノン杉は船や宮殿作りに使われた。
その後、商業価値は衰えるも、ローマ帝国によって宗教都市として生まれ変わると、巡礼者でにぎわうようになった。
しかし、イスラム勢力が反映すると、ビブロスは衰退し、十字軍によってなった活気も、一瞬で解かれてしまった。
今では廃墟と化し、沢山あったレバノン杉も今では数百本しかない。

ジュバイル港を見下ろす丘には、商業都市として栄えていたころのフェニキア王たちの墓がある。
また、そこで発見されたアヒラム王の墓の石筆の碑文は、ビブロスで発達した最古のフェニキア文字によって刻まれている。
それは、エジプトの象形文字やメソポタミアの楔形文字と同時期にこの地で文字があったことを意味し、アルファベットの発祥にとって重要な地である事を意味している。

1984年に登録された。

←バック