ク サ ン ト ス     レ ト ー ン    

三 度 の 悲 劇 の 地   そ し て 女 神 レ ト に 捧 ぐ 遺 跡

トルコの南西部、地中海に程近いクサントス。そこはギリシア神話によると、ゼウスとエウロペの子、サルペドンによって築かれ、昔はリキア地方の中心都市として栄えたといわれている。

紀元前545年、クサントスはアケメネス朝のペルシア軍の侵入により、急激な変貌を遂げる。ほとんどの市民は虐殺され、その後の復興によってなったクサントスも、1世紀頃の火事で焼けてしまう。
そしてローマのカエサル皇帝が暗殺された後、クサントスを占領していたブルータスによって、再び人々は虐殺された。

しかし、その後再建されたクサントスは、7世紀のアラブの襲撃の後廃墟となり、さまざまな建造物が残された。
中でも特徴的なのは塔墓で、そこには人間の女性の顔を持ち、鳥の翼を持った怪鳥のレリーフが残されている。

そのクサントスの南西に、レトーンはある。
紀元前からリキアの祭祀として使われたと見られ、ここもギリシア神話につながる。
ゼウスの妻のヘラは、ゼウスが彼女を愛したため女神レトを恨んでいた。
コイオスとポイベの娘、レトはゼウスと関係を持ち、アポロンと女神アルテミスを生んでいた。ヘラは彼女を諸国の旅に命じる。
其のたびの途中、レトはリキアに滞在したといわれ、人々は彼女へと神殿を捧げた。それがレトーンだと伝えられる。
遺跡の中央にはイオニア・ドリア式の柱廊があり、劇場跡、修道院も残っている。また、27メートルもの噴泉跡も残る。

1988年に登録された。

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