江崎氏の研究について
1.ダイオードに関する説明
江崎氏のノーベル賞を語るにはまずダイオードの話をしなくてはなりません。ダイオードとはN型P型という二つの半導体を接合したものなのですが、N型はマイナスの電化を持った電子が、P型はプラスの電荷を持った正孔と呼ばれる物質が半導体に中を飛び回っているものです。

2.順方向と逆方向

このN型とP型を接合したものがダイオードであると先に述べましたが、P型にプラス、N型にマイナス極を繋いだものを「順方向」といい、通常この状態に電圧をかけると電流が流れやすくなります。反対にP型にマイナス、N型にプラスを繋いだものを「逆方向」と呼び、一般に電圧をあげても電流は流れにくくなります。
順方向図
逆方向図
3.江崎氏の研究について
ここから、江崎氏の研究がかかわってくるのですが、上に書いたとおりダイオードは一般的に、電圧を上げると電流は多少なりとも上昇しるものです。しかし、江崎氏の研究において半導体内に不純物が多いと、順方向かつ低電圧のところを高電圧にしても電圧が下がってしまう、という現象を発見したのです。これを「負性抵抗」が見られるといいますが、これを発見し、それが電子の量子力学的トンネル効果という現象であることを確かめたのが江崎氏なのです。そして、1957年実験の末エサキダイオードを開発することに成功し、これらの研究が、「トンネル分光学」等新しい研究分野の開発と、技術の産業への転換を発展させたとして、1973年の江崎氏のノーベル賞受賞に結びついた訳です。
順方向に不純物が入っている図

不純物が半導体内に入っているため、通常の実験では得られない、高電圧の電圧低下を引き起こした。
トンネル理論図



電子は壁を登って越えていくのではなく壁をすり抜けて、目的地へ行く。それは、まるでトンネルをくぐるかの様に見えるのでトンネル理論という。
4.同時受賞者
同時受賞者はI・ジェーバー氏とB・D・ジェフソン氏の二人です。

戻る