白川英樹氏の研究について
1.最初に
プラスチックが伝導性かどうか?と聞かれたら皆さんはなんと答えるでしょうか。当然絶縁体だ、と答える人が多と思います。確かにプラスチックは絶縁体であるといわれていました。しかし、ご存知でしょうか、プラスチックが電気を流す可能性は前々から指摘されていたのです。白川氏の研究はまさにプラスチックに電気を流すものだったのです。ここで一つ言っておきたいのは、プラスチックは絶縁体に間違いないということです、突然プラスチックが電気を流すようになる訳はありません。では、ここで、肝心な白川氏の研究内容についてお話しましょう。
触媒が電気を通す図
2.白川氏の研究について
1967年白川博士が東京工業大学で助手をしていた頃、白川氏は、一人の研究生が行った実験でポリアセチレンの合成時、触媒を1000倍濃くすると薄い膜ができる事に気がきました。膜状になると色々な方法により、これまでできなかった実験が可能になるのです。電気が通膜がプラスチックを包んでいるとお考えください。白川氏は1974年に「ポリアセチレンの薄膜化」についての論文を発表しました。さらに、その後の研究でポリアセチレンに微量な物質を加える(ドーピングといいます)ことによってポリアセチレンの伝導性を飛躍的に高めることに成功します。「ドーピング」に関する論文が最初に発表されたのは1977年でその後、これらの研究がきっかけとなり伝導性プラスチックは学会や産業界で一大ムーブメントを引き起こすことになります。
3.何に使われているか?
話は難しくなりましたが、現在、伝導性プラスチックは我々の身近で使われているのです。たとえば携帯や駅の切符販売機等にも使われています。今後さらなる発展、応用が期待されています。
4.同時受賞者
最後に白川氏は、2000年に共同研究者のマクダイアミッド博士、ヒーガー博士と共にノーベル化学賞を受賞しました。
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