| 利根川氏の研究内容 |
| 利根川氏の研究 |
| 利根川氏は1978年に、抗体の多様性のメカニズムを解明したことにより、ノーベル生理・医学賞を受賞しました。 そもそも抗体というのは、人間の持つ免疫システムの重要な機能のひとつであり、これによって体内に侵入してくるウィルス等と結合し、不活性化します。 この抗体は、リンパ球のB細胞が産出します。一つのB細胞が産出できる抗体は一種類であり、侵入した抗源に応じたB細胞が活性化されて増殖し、抗体が分泌されるのです。 人間は、実に1000兆種類以上の抗体をつくりだせる事がわかっており、この多様さゆえに無数ね存在する外部抗原に対応できるのです。 しかし、人間の遺伝子は数万個程度しかなく、そのうちのごく一部が抗体の産出にあてられているので、抗体の多様性についての説明がつかず長い間これは謎でありました。 利根川氏はこの謎を数年間の研究によって解明しました。 抗体の遺伝子は胎児の細胞では遺伝子の断片に分かれて存在しており、それが胎細胞からB細胞へと変化(分化)する過程でつなぎ合わされます。 遺伝子断片は数百種類以上存在し、それらがランダムに組み合わさることによって、数百個程度の遺伝子断片から、無限ともいえる多様な抗体が産出されるのです。 この理論は、それまであった常識をくつがえすものでありました。 それゆえに利根川氏は、ノーベル生理・医学賞を単独受賞したのです。 |