| 清王朝末期の首都・北京に王懿栄(おういえい)という人がいた。 彼にはマラリア(伝染性熱病)の持病があり、季節の変わり目には発熱に悩まされていた。 当時、マラリアには竜骨という漢方薬が効くと言われていて、王懿栄も竜骨を常用していた。 ある日、たまたま王の家に来ていた弟子の劉鉄雲(りゅうてつうん)が王の使用人が買ってきたまだ粉にしていない竜骨に目をやると、骨の表面に何か刃物で刻んだと思われる文字のようなものが見えた。早速王に話し、詳しく調べてみると、いままで最古とされていた金文(きんぶん)よりも更に古い文字だということがわかったのである。そこで薬屋に行き、出所を聞き出した結果、竜骨は河南省安陽県の小屯という村で農民が畑を耕すと出てくるということがわかった。そこで発掘が行われ、甲骨のほかに青銅器や玉器、骨角器、石器などが見つかったのである。 |
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