●色と歴史人物
普段、生活の中で色は当り前のように私たちの身の回りにあります。
しかし、歴史上の人物があってこそ、現在の色彩学があるのです。
ここでは、色彩学に関わった代表的な科学者達を紹介します。




アイザニック・ニュートン(1642年〜1727年)
1704年。太陽光をプリズムを使って分光し、その仕組みを明らかにしました。
そこで著わした書物が『光学』です。
この書物の第一巻では、幾何光学の理論を記述し、光の各種の色が白色光を形成しているという実験の詳細を説明しています。しかし、ここで紹介した実験は、彼の間違いであり、ただ実験に失敗しただけだったのです。
第二巻では、有名な実験「ニュートン・リング」として知られる現象で光の干渉を説明しています。
そして、第三巻では光の回折の問題を研究し、この現象を説明するために光の振動説を提出しています。
本書はニュートンが友人のリチャード・ベントリーに送ったもので、本の扉に「著者よりの贈り物、R・ベントリーへ」と記されています。

※ニュートンその他の業績⇒「力の構成」、「万有引力」
※ニュートンその他の著作物⇒『プリンキピア』、『光と色についての新理論』など。




ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749年8月 28日〜1832年3月22日)
『若きウェルテルの悩み』(1774)、『ファウスト』(1832)などの著作を残した詩人・文学者。
ニュートンの実験を否定し、生理的色彩から工芸品まであらゆる色彩現象を研究し、『色彩論』を著わした。
『色彩論』は19世紀末のR・シュタイナーや20世紀初頭のハイゼンベルクらの評価、その後の科学のパラダイム転換などにより、ますます注目されるようになりました。
ゲーテの色彩に関する考察は、生理的色彩、物理的色彩、科学的色彩に分けて書かれています。
また、彼の研究はニュートンの実験に反対することから始まったのです。


※ゲーテその他の業績⇒「形態学」
※ゲーテその他の著作物⇒『ヘルマンとドテローア』、『ウィルヘルム−マイスター』、自伝『詩と真実』





アルベルト・アインシュタイン(1879年〜1955年)
ドイツ生まれの物理学者で、今世紀最大の超天才科学者。
1905年、彼は四つの論文「ドイツ物理学年報」を立て続けに発表し、それはいずれも今までの物理学全体をひっくり返す20世紀の物理学を決定した偉大な業績でした。
そしてそれらの論文は長年に渡って不動の地位を保ってきたニュートン力学を「古典」物理学としてしまったのでした。
1921年度には、「特殊相対性理論」を確立し、ノーベル賞が与えられました。

※アインシュタインその他の業績⇒「光量子説」、「ブラウン運動理論」
※アインシュタインの著作物⇒『運動物体の電気力学について』






●世界の色
文化や言語が違うと、色の見方、感じ方も違ってきます。
貴方の住む国の外では今までこれが当り前だと思っていたことが意外な色だったりするかもしれません。



虹の色は何色(なんしょく)?

面白い話があります。日本では誰もが7色と答え、子供達が絵を描く時も7色の虹を描きます。ところが、アメリカの子供達は6色の虹を描きます。一つ、抜けている色があるのです。
それは、藍色です。
これは、アメリカと日本の文化による違いです。

日本とアメリカだけの違いではありません。
英語圏では、赤・橙・黄・緑・青・紫の6色で、メキシコの原住民であるマヤ族は、黒・白・赤・ 黄・青の5色で表現するといいます。
ニューギニア、あるいはコンゴなどの諸言語では、色を表す言葉自体が黒と白、もしくはそれに赤を加えたものしかありません。 つまり、虹も2〜3色ということになるわけです。

しかし、虹の色は連続的な色相であるため、科学的には特定の名前で判別することは不可能とされています。



太陽・月の色は本当は何色?

科学的には、現在は太陽は薄い黄色、月は褐色の肌色とされています。

しかし、日本の子どもたちが太陽を描く時はほとんど赤で、黄色は月の色と思われているようです。
また、モンゴルでは27人中17人が黄色い太陽を描き、ベトナムでは黄色とオレンジのみで、赤を描いた子どもは居ませんでした。



世界の郵便ポストの色

皆さんの知るポストの色とは、真っ赤なポストでしょう。
しかし、この赤いポストは1908年から「目立つから」という理由で取り入れられたもので、日本に郵便制度が出来た当初(1871年)は木製の黒や緑のポストでした。

また、他にも、アメリカでは黒、インドでは赤、ロシアでは青。スペインやイエメン、ベトナムでは黄色いポストが配置されています。

時代によっても違ってくるようです。


いずれにしても、色の認識方法が、人間の環境や言語、文化の影響を多大に受けていることが分かります。





各国で好かれる色









世界の国旗

@ヨーロッパの国旗
・アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドは十字を用いたデザインが非常によく似ている。それは、キリスト教を信仰している国であることを示すと同時に、支配したり、支配されたりした過去があることを表している。
上記の国以外にも、イギリス、スイス、ギリシャの国旗にも十字が入っている。
ヨーロッパの国旗はキリスト教の影響を受けているものが多い。
また、フランスの3色旗はアイルランド、アンドラ、ベルギーなどの国の旗に影響を与えた。


Aアフリカの国旗
・アフリカの国旗には、よく「赤」、「黄」、「緑」の配色が見られる。この三色は、アフリカで古代以来の独立国、エチオピアからきたものである。
また、黒もよく使われており、アフリカに住む黒人を表している。


Bオセアニアの国旗
・「青」、「赤」の配色がよく見られる。また、オセアニアの国のほとんどが南半球に位置し、南十字星を描いたものが多い。



宗教による国旗の色の違い

*イスラム教
・イスラム教を興したマホメットのターバンの色が緑だったので、イスラム教では緑は神聖な色とされている。
赤・白・黒は、マホメットを継いだ人や初期イスラム王朝で自分を表す色として使われていた。





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