色彩
<ポスターでは>
色の対比現象は色の見えを大きく規定しています。そして、観察者の関心の寄せ方とも関係しています。たとえば、黒い三角形の中に食い込んでいる灰色は、同じ三角形に接している灰色よりも明るく見えます。これは観察者の関心や構えが重要な役割を演じていることを示します。このように、色彩決定において、観察者がそれをどう見るのかを十分に考慮しなければなりません。
そして、「いかに目立たせるか」ですが、ポスターを貼る場所の色彩状況が、そのポスターの効果を大きく左右するということを、よく念頭においてポスターの色彩を考える必要があります。

<色相>
 赤、青、黄色などその色の持つ色味のこと。



<明度>
明るさの度合いのこと。一番明度が高いのが白で、一番低いのが黒。



<彩度>
 色が冴えているかどうかの度合いを示します。鮮やかな色ほど彩度が高く、くすんだ色ほど彩度が低い。

<トーン>
色の濃淡、明暗や鮮やかさなど色の調子をトーンという。



<中間色>
緑系統や紫系統など、暖色にも寒色にも属さず、暖かい、寒いといういずれの感情も与えない色を中間色といいます。
中間色は、暖色や寒色からは影響を受けるが、その色だけではまわりに影響を与えません。




<色の大きさと見え方>
 人は、たとえ健眼者であろうと、微小な色を見るときは色覚異常者と同様な色覚の混乱をきたします。白に近い色は白っぽく、黒に近い色は黒っぽく、赤に近い色は赤っぽく、緑に近い色は緑っぽく見えてしまいます。これは小面積第3色覚異常として知られています。
 色が小さすぎたり、露光時間が短すぎたり、照明が暗すぎるなどの悪条件下では、色の観察が難しくなります。したがって、遠距離から眺める場合にはどうみえるか、瞬間的にはどうみえるか、暗い照明下ではどうみえる科などを考慮しなければなりません。

<進出色と後退色>
色には遠近感があります。赤や黄、橙などの高明度色や暖色系の色は、視界から前方に接近してくるような印象をあたえ、青や緑などの低明度色や寒色系の色は視界から後方へ引っ込んでいるような印象をあたえます。赤や黄色などの色は遠心的な運動をし、青や緑は求心的な運動をするからです。このように、見かけの距離が近くに感じられる色を進出色、遠くに感じられる色を後退色といいます。これにより、商品ディスプレイでは、赤や黄色を空間に前進させて客の目を誘引し、エレベーターなどの小空間に青や緑を塗ると心理的に広く感じます。



<収縮色と膨張色>
 白、黄、赤など見かけの大きさが大きく見える色を膨張色といい、黒や青など小さく見える色を収縮色といいます。明度の高い白が最も大きく見え、明度の低い黒が最も小さく見えます。このため、碁石などでは黒のほうが白よりも大きく作られています。

<色の対比>
色はたいてい、ほかの色によって囲まれているとか、時間的に前後して見られることが多いです。色の見え方はこれらのことによって影響されます。この現象は、色の同時的対比と呼ばれます。例を挙げると、明るい色と暗い色とを並べて配置してみる、すると一方はより明るく、他方はより暗く見えるといった具合です。

<ハレーション>
色相が異なる場合、二色が補色関係にあれば、彩度が増した感じになり、色相差が判然とする。補色の関係である原色の赤と緑をならべると、二色の明度が近似し、色相差が著しいため、色対比が最大となり2色はハレーションを起こします。これが緑背景の上に赤で文字をのせるとなると、なにが書かれているのか読みづらくなってしまいます。



<グレアー効果>
2色が近似する場合には、地色と図色の選び方に工夫をしなければなりません。暗い灰色の背景の中に暗い紺色の図を描いた場合とこの逆では、前者のほうが明らかに明瞭に見えます。
また、2色が相反する性質を帯びている場合には、強い対比効果を生じ、どぎつく見えることがあります。これをグレアー効果といいます。この効果を抑えるには、カコミ技法)やボカシ技法で強い対比効果を和らげ、色を安定してやるとよいでしょう。

<色の見えやすさ>
 色の見えやすさは、つねにその色と周囲の色との関係で決まると考えるのが自然です。観察者の興味の違いやその時の気分など、その人の心理条件も影響してきます。
 白い紙に黒で図を描けば、黄色で描いた場合よりもはるかに目に付きやすい。赤と緑のように色相差が大きいものでも、冥土が近似すると見えにくくなります。したがって、色の見えやすさは何よりも図と地の明度関係によって規定されるといえます。同時に色には注目されやすいものとそうでないものがあります。明るい色・彩度の高い色・暖色の方が、暗い色・彩度の低い色・寒色よりも注意を引きやすくなります。
 
<暖色と寒色>
赤や橙、黄色など、暖かく感じる色を暖色、青系統の冷たく感じる色を寒色といいます。
暖色は時間の回転を早くする役目ももっています。それに対して寒色は時間の回転を遅くする役目をもっています。

<興奮色と鎮静色>
興奮色は暖色系で高彩度の色が当てはまり、強烈な刺激を与えます。特にスポーツには欠かせない色。
鎮静色は心や気分が落ちつく色。寒色系や緑系統の色で低明度・低彩度の色が多いことから、自然にある色が鎮静色に当てはまります。

<色の軽重感、>
例えば、同じ大きさ、同じ重さの球があるとします。その球が黒いと重く感じ、白いと軽く感じます。このように、色の重量感は、明度に左右されることが多く、重く感じる色は、重いほうから、黒、青、赤、紫、橙、緑、黄、白の順で、明度の低い色ほど重く感じます。








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