ユニセフ・北アフリカ/中東地域事務所
兼光由美子
(
かねみつゆみこ
)
さん
質問:現地のことで私たちに知ってもらいたいことはなんですか?
やはり
紛争
(
ふんそう
)
の問題です。
紛争があるのは事実なので仕方ないですね。 この辺の大きな問題の一つはみなさんもご存知だと思いますが、イスラエルーパレ スチナ問題です。この問題の解決がない限り、中東には平和は訪れないと言われ ています。
私がヨルダンに来てからインテリファーダが始まり、
事態
(
じたい
)
はますます
悪化
(
あっか
)
してい ま す。この紛争を3年ほど身近に感じてきたわけですが、大人たちと話していると (かく言う私も大人なのですが)、もうこの人たちには紛争解決能力は
望
(
のぞ
)
めない なあと思ってしまうことがあります。
頑固
(
がんこ
)
だし、自分の考えに
凝
(
こ
)
り固まっていて自 分が100%正しくて相手が100%間違っているという考えの人が多いのです。 こういう大人になってしまわないために、みなさんには
偏見
(
へんけん
)
を持たないこと。自 分 の考えをきちんと相手に説明ができると同時に相手の考えも理解しようとするこ と。その上で自分なりの判断力ことを持つこと。暴力はどんな場合にも何の解決 にもならないということを知ってほしいと思います。
しかし、政治家が国際法を
無視
(
むし
)
して気に入らない国があればどんどん
爆弾
(
ばくだん
)
を落と してしまうような世の中なので、子どもにだけ平和について分かってほしいという のはどうかと思いますが、、、。
こういう
狂
(
くる
)
った時代もしっかり見て自分なりに考えておいた方がいいと思います 。
質問:私たちにできることはなんだと思いますか?
私は国際問題というのは突き詰めると国内問題だと思っています。
例えば、今年はじめ
米国主導
(
べいこくしゅどう
)
のイラク戦争に
賛成
(
さんせい
)
するかしないかということで世 界各国の意見が割れました。世界各地で大きなデモンストレーションがありました。 デモンストレーションの
規模
(
きぼ
)
はどこの国でも大きかったし、大半の人はこの戦争 に反対していたと思いますが、それでも結果的に戦争は始まり、
参戦
(
さんせん
)
する国がたく さんありました。
なぜ人々は反対しているのに、政治家が
世論
(
せろん(よろん)
)
を無視して戦争を始めることができ るのでしょうか。 政治家の
利益
(
りえき
)
が先行して、国民の意見が
反映
(
はんえい
)
されない国はその国の民主主義シス テム自体に問題があるのではないかと思います。自国が民主主義の問題を
抱
(
かか
)
えてい るのに、どうやって人の国の民主主義を助けるのでしょうか? 他の国のためになることをしようと思うと、自国が良い
政策
(
せいさく
)
を展開していないと 無理だと思います。
分かりやすい例だと、自国が
排気
(
はいき
)
ガスをどんどんだすような環境 政策をとっているようでは、人の国の環境保護プロジェクトなんか絶対できません 。
と、いうことで、何ができるかということですが、もう一度自分たちの周りの政 治、社会問題を考えてみることではないでしょうか。みんなで考えて、話し合っ て、
協議
(
きょうぎ
)
する文化をまわりに作っていく。解決策があればそれに取り組んでみる 。 実に地味でかっこよく聞こえないかもしれませんが、私はこれをオススメします 。
そして、もう一つは、一人本当の外国人の友達を持つ、ということもオススメし ます。一人本当の外国人の友達がいて、その人のことやその人の国や文化のことを 理解するだけで立派な国際理解だと思いますが、どうでしょうか。
兼光さん貴重なご意見ありがとうございました!
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