サーズ(SARS)
サーズ(重傷急性呼吸器症候群)―SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)
2002年11月中国広東省から発生し、2003年春ごろまでアジア・カナダを中心に猛威を振るったことは、まだみなさんの記憶に新しいと思います。これまで発見されてこなかった全く新しい感染症です。
病原体は、『SARSコロナウィルス』と命名された新型コロナウィルス。
発症すると、38度以上の発熱、息切れ、咳、呼吸困難をおこし、胸部レントゲン写真で肺炎のような所見が見られるほか、頭痛、悪寒、食欲不振、全身倦怠感、下痢、意識混濁など様々な症状が見られる場合があります。
SARSには抗生物質がききません。しかし最近、SARSに効く薬も発見されてきています。
2002年11月1日から2003年6月3日までで、可能性例として8398件が報告され、772名が死亡しています。今年の冬はインフルエンザと共に猛威を振るうと言われていて、厚生省などはインフルエンザ予防接種を勧めています。
主にSARS患者のくしゃみ、咳のしぶきから感染する飛沫感染が考えられますが、手や物を介した接触感染も否定しきれません。患者の2m以内の比較的長い会話や患者の看護・介護・同居には危険性が高いといわれています。
有効な治療法がまだ確立されず、ワクチンもありません。そのため対症療法などが中心となっています。
SARS流行地には旅行しないことが大切です。SARSが最も流行した時期は、中国、台湾、香港などの諸地域への旅行延期勧告などがWHO(世界保健機関)から出されました。
清潔なマスク着用、手洗いうがい、健康管理などが大きな感染予防となります。