●年賀状
中国では既に唐の時代(西暦619〜907年)には年賀の習わしがあり、庶民の間でお互いに「片子」と呼ばれるカードを送っていました。また、明の時代・天順年間(西暦1457〜1464年)にはその風習が最も盛んになりました。この頃の年賀状はタテ3寸(約9cm)、ヨコ2寸(約6cm)ほどの短冊に住所や名前、そして「恭賀新禧」など、おめでたい言葉を書いて配り歩いたものです。
現代の中国の年賀状は山水花鳥などの絵の印刷や、切り紙を貼り付けたものもありますが、形式はハガキなどではなく、二つ折り形式のカードが主となっています。また、日本のように大量に年賀状を贈りあうのではなく、中国では年始回りが”年賀”の柱となっています。
●ハンコ
日本でハンコは篆刻家などの作る芸術的なものもありますが、銀行手続き・入学・履歴書・結婚など様々な場面でサインの代わりに使われるものが主となっています。けれども中国では申請書などの場合、サインとハンコのどちらでも使って良いことになっています。また、北京の街には立派な構えのハンコ屋さんがたくさんあり、良い印材(ハンコの材料)を集めている人や、篆刻の展覧会に出かける人も多く、中国人にとってハンコは趣味的な意味も持っています。
●靴事情
日本人は家へ帰るとすぐに靴を脱いで部屋に上がりますが、中国では、ほとんどが椅子とベッドの生活で、靴を脱ぐという習慣はありません。そのため、中国の人は一般に足にフィットする編み上げ靴を好みます。その他の中国の靴には、布靴やサンダル式の藁草履があります。
●のれん
「のれん」は漢字で「暖」かい「簾(すだれ)」と書きます。なぜ店の入り口にかける看板のような「のれん」に「暖かい」という文字が入っているのか、気になったことはありませんか??ここにも、日本と中国の文化の違いが隠れているのです。
もともと中国では昔から「暖簾」が使われています。でも、それは戸口のてっぺんから地面すれすれまである長いもので、麻や豚の毛を丈夫な綿布などで挟んでつくります。つまり、寒さよけのためのものだったのです。
●凧
中国には昔から、凧にまつわる物語も多く、また日本でも平安時代に中国から伝わり、後の徳川時代に遊びとして普及しました。中国と日本の凧を見てみると、どちらも縁起物としての意味合いを持っていることが分かります。中国の凧には孔雀・鳳凰・飛龍・飛虎など、また日本の凧には金太郎や鯉など、子どもの健康と出世を願った縁起物の絵が描かれることが多いです。
中国の古い民謡には「正月には凧上げ、二月にも凧上げ、三月には糸を切って凧をとばす…」というものがあるように、凧の糸を切ることで不運や病苦も一緒に消えていくという考え方があります。
ところが、逆に日本は、凧は天と地をつなぐものという考え方があり、凧の糸が切れたりすることは良い事とはとられませんでした。
●花火
中国の花火は何かのセレモニーや春節などの祭りのときに、季節を問わず打ち上げられます。また、その方法は、北京の場合は四方八方から行われました。また、空気が乾燥しているためか、北京の花火の色は鮮明です。
また、日本の花火は主に夏に行われ、セレモニー以外にも「花火だけを見る」大会が行われます。東京での花火はしっとりした感じで、花火が川に反射してきれいです。
また、中国では爆竹のすさまじい音が悪霊やばけものを追い払ってくれるという考え方もあり、祭りの際の雰囲気作りのためなどに大活躍しました。けれども、日本には神を踊りや音楽で説き伏せ、悪霊の力を中和させるという解釈があるため、日本では爆竹ではなくその他のものによって幸せを得る風俗が続いてきたました。
●ちょうちょ結び
「ちょうちょ結び」の結び方は、日本では横結びですが中国では縦結びです(右図参照)。中国ではホテルのレストランのウエートレスのエプロンも縦結びで、道行く人の靴紐の結び方も縦が多く、また中国の水引も縦結びです。こんな意外なところにも日中で違いがあるのですね。