日本が中国に協力するだけでなく、中国からも日本へも様々な協力が行われています。
その代表例として中国から日本に贈られた動物、朱鷺とパンダについて紹介します。

*パンダ*
パンダは、中国の友好親善の証に様々な国家への贈り物とされ、活躍しました。1957年にはパンダの贈り物第一号として旧ソ連に、そしてその後伝統的に関係の深かった北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、また1972年以降は外交関係が始まるにしたがって、米国、日本、フランス、イギリス、旧西ドイツ、メキシコ、スペインの順に贈られました。
中国から日本への贈り物としても有名なパンダですが、中国政府からは第一級の保護動物に指定され、人工繁殖も試みられており、現在の生息数は野生のものも含めて約1000頭となっています。けれども一頭あたり百万元(約1500万円)で取引されるパンダをねらう密猟者は後を絶っていません。そしてなんと、密猟で有罪となった場合は最高で死刑となるそうです。
画像:上野動物園にいるパンダ
(C)毎日新聞社提供

*朱鷺* 
トキは、かつては日本中にいた鳥でした。学名Nipponia Nippon(ニッポニア・ニッポン)の通り、日本を代表する鳥となっていました。カエルや小魚、昆虫など水田にいる生き物を食べ、古くから日本人の生活に深く関わってきました。『日本書記』にもその名が登場しているほどです。ところが、19世紀後半、明治時代になってからきれいな羽毛がねらわれて撃たれたり、百姓から水田を荒らすときらわれたりした事によってトキの数は減り始め、自然破壊や環境の悪化も加わり、20世紀には絶滅の危機にさらされるまでになってしまいました。
一方で、中国にも古くからトキが生息していました。中国のトキについて最も古い記録は『史記』にもあります。そして中国のトキも1960年代以降急激に減ってしまい一時は絶滅が伝えられましたが1981年5月に再発見され、現在では人工増殖にも成功しています。中国には野生と飼育のトキが合わせて120羽あまりいますが、最近では野生のトキの唯一の生育場所である中国陝西省洋県(→中国地域図へ)でも水質汚染や木の伐採などによって徐々にその生息数が減ってきていて、深刻な事態となっています。
―中国からの協力―
このようにトキの絶滅が深刻な問題となっている状況の中、日中両国の政府関係機関や民間団体などが協力してトキの住める環境を保護、整備していこうということになりました。これは現在繁殖可能な中国のトキの絶滅を防ぐだけでなく生物多様性の保護という視点に立って取り組むという、大きな意義を待った事業であり、これを中国と日と本が協力して実行するということは、すばらしい事だといえます。

そして1988年(平成10年)の11月
26日、来日していた中国の江沢民国家主席(当時)が、皇居で天皇陛下と会見し、「日中友好の証として朱鷺一対を日本に贈呈する」とした目録を天皇陛下に手渡しました。前回までは「繁殖目的の貸与」としたものでしたが、今回「贈呈」となったことで、国際保護鳥である朱鷺を中国と日本の協力によって守っていこうという意思がより強まりました。
朱鷺保護施設のある佐渡島をもつ新潟県の知事、平山征夫氏は、「『新潟県の鳥(県鳥)』である朱鷺を絶やさないため、朱鷺の迎え入れが実現できることとなり、大変喜ばしく思っている。中国政府のご厚意に心から感謝したい」と話しました。