
原子力発電の仕組み
原子力発電は、原子炉の中でウラン(U235)が核分裂する際に発生する熱で高温・高圧の蒸気をつくり、タービンを回して発電します。
原子炉にはいろいろな種類がありますが、日本で主に使われているのは「軽水炉」と呼ばれる型のものです。
●軽水炉
軽水炉は、減速材や冷却材に軽水(ふつうの水)を使用する原子炉です。世界で最も多く採用されています。
・減速材=核分裂によって発生した中性子を、次の核分裂を起こしやすい状態にするために、中性子の速度を落とすもの。
・冷却材=核分裂によって発生した熱を炉心から外部に取り出す。
軽水炉には沸騰水型と加圧水型があり、日本ではほぼ半々の割合で建設されています。
核分裂とは何か
ウランの原子核が中性子にぶつかると、ウラン原子核が2個の別の原子核に分裂します。その時に2〜4個の中性子と放射線を出します。このことを核分裂といい、それによって、膨大なエネルギーが生まれます。
また、その中性子が、隣のウラン原子核にぶつかり、再び同じような原子力核分裂が引き続いて起こります。この現象を連鎖反応といいます。この核分裂にともなって莫大なエネルギーと放射能が放出される。このエネルギーを核エネルギーといいます。
沸騰水型(BWR)原子力発電のしくみ
沸騰水型は原子炉の中で発生させた蒸気を直接タービンに送る方法です。タービンを回したあとの蒸気は、復水器で冷やされ、水に戻され、再び原子炉に送りこまれます。

●原子炉圧力容器:鋼鉄製の容器で、この中に燃料集合体が収められています。
●制御棒:核分裂をコントロールする役目をもっています。制御棒を挿入すると核分裂反応が抑制されます。
●原子炉格納容器:原子炉圧力容器を収めている鋼鉄の容器です。
加圧水型(PWR)原子力発電のしくみ
加圧水型は原子炉の中でつくられた熱湯を蒸気発生器に送り、別の系統の水を蒸気に変えて、その蒸気でタービンを回す方法です。

●加圧器:1次冷却系の圧力を一定に保つためのものです。
●蒸気発生器:1次冷却系の熱を2次冷却系に伝える役目をもっています。
原子力発電の長所/短所
長所:
@少量のウランで大量のエネルギーが得られる。(石油の10万倍)
A二酸化炭素、二酸化硫黄などの排気ガスがないので、空気感染がない。
B適当に管理された放射能は医療や農作物の品種改良に利用される。
短所:
@事故が起こると、大量の放射能と熱エネルギーなどにより、大災害を起こす。
A設備の建設、安全管理に経費がかかる。
問題が起きない限り環境にも優しく、エネルギーも大量に生産できるため、 現在、日本では、急増しています。