2003年にヒトゲノムの塩基配列解読が終了したことが宣言されました。
それにより、生命科学はゲノム読解の次の段階ーポスト・ゲノムに入ったといわれています。
遺伝子の機能、遺伝子をもとにして作られるタンパク質の全貌、個人個人の遺伝子の違いをつきとめ医療に用いるオーダーメイド医療、新薬開発、再生医療、遺伝子組み換え作物の研究などさまざまな方面にわたります。
さらに研究が進められていくうちに今までの学説では説明できないことが数多く出てきました。
その1つが、RNA(リボ核酸)です。DNAの情報を写し取って、アミノ酸を並べているのがRNAです。今までRNAは、単なる脇役にすぎないと考えられていました。
ヒトゲノムでタンパク質をコードしている遺伝子部分は2%にすぎません。残りの部分はイントロンと呼ばれ、RNAに転写後、多くは分解されてしまいますが、一部は機能を持ったRNAを作り、それによってできたRNAは、mRNAの邪魔をして遺伝子を沈黙させるなどの発現の調整をしたり、他の遺伝子を破壊したり、他のRNAに結合しタンパク質合成を抑制することがわかってきました。→『RNA干渉』
RNAの働きによってヒトという複雑な生物の土台を築きあげたのかもしれないと言われています。
RNA干渉を利用してガンやウイルス感染などの病気に関連する遺伝子を抑え込む方法が開発できます。実現すれば、新しい種類の医薬品の基礎をなす技術となるでしょう。
人工的なRNAを使って、RNA干渉という新技術でエイズやC型肝炎の治療に応用する実験に成功したと発表されています。
次のページではRNA干渉について詳しく紹介しています。(→次へ)
日米英独仏中の6カ国が共同で取り組んだ生物学史上初の国際研究。
目的: @ヒトゲノムの全塩基配列の読み取り。
A染色体上の遺伝子の物理的地図作り。
B各遺伝子の機能解析。
わかったこと: ヒトの遺伝子数が3〜4万個であった。
(従来の説では遺伝子は10万個とされそれに伴うタンパク質の合成も
10万種類とされていたが実際には3〜4万種類であった。)
*疑問*
なぜ、10万種類以上と推測されるタンパク質が作られるのだろうか?
→ポスト・ゲノムで注目されているもの
・オーダーメード医療・新薬開発
・再生医療
・アレルゲンフリー作物の開発
・遺伝子組み換え作物の開発
などがあります。