51番
出典:「後拾遺集」より
かくとだに えやはいぶきの さしも
草
ぐさ
さしも
知
し
らじな もゆる
思
おも
ひを
藤原実方朝臣
ふじわらのさねかたあそん
■口語訳
あなたを好きだと言うことさえ、言うことができないのだから ましてや、伊吹山のさしも草が燃えるように私の思いの火がこんなにも激しく燃えているとは、あなたは知らないだろう。
■作られたワケ
藤原実方朝臣は清少納言の恋人だったので、彼女に負けないくらいの歌を作りたいと思い、 この歌を作りました。
■作者プロフィール
藤原実方朝臣(?〜998)
藤原実方朝臣は、気性の激しい人で、左近中将(さこんのちゅうじょう)にまでなりました。しかし、 御所で藤原行成(ふじわらのゆきなり)とけんかし、その冠を地に投げ捨てた罪で一条天皇の怒りにふれました。そして、陸奥守(むつのかみ) に左遷(させん)され、任地で死にました。
死んでから、すずめになって都に戻ったという伝説があります。また、清少納言の恋人でした。