55番
出典:「拾遺集」より
滝
たき
の
音
おと
は
絶
た
えて
久
ひさ
しく なりぬれど
名
な
こそ
流
なが
れて なほ
聞
き
こえけれ
大納言公任
だいなごんきんとう
■口語訳
滝の流れが絶えて水音が聞こえなくなってから、もう長い年月がたった。 が、昔は素晴らしい滝だったという評判は今もなお伝えられ、よく知られ ていることだ。
■作られたワケ
もと嵯峨(さが)天皇の離宮(りきゅう)だった、京都・嵯峨の 大覚寺(だいかくじ)の滝殿(たきどの)で詠んだものです。
■作者のプロフィール
大納言公任(996〜1041)
大納言公任は、藤原公任のことで、関白藤原頼忠(かんぱくふじわらのよりただ)の子です。めぐまれた上級貴族の家に育ち、 正二位大納言にまでなりました。あらゆる学問芸術にすぐれた才能をもっていたそうです。「拾遺集」や「和漢朗詠集」などの本をまと めました。