57番
出典:「新古今集」より
めぐりあひて
見
み
しやそれとも わかぬ
間
ま
に
雲
くも
がくれにし
夜半
よは
の
月
つき
かな
紫式部
むらさきしきぶ
■口語訳
めぐりあって見たのが、それかどうかもわからない短い間に、早くも雲に 隠れてしまった夜中の月のように、久しぶりに会ったのに、すぐに帰って しまったあなた。どうしてそんなにいそいで帰ってしまったの。
■作られたワケ
この歌は久しぶりに幼友達と会ったのにすぐ帰ってしまったあわただしさ、もどかしさを詠んだものです。
■作者プロフィール
生没年 (970〜1016)
紫式部はとても内気な性格で、夫と死別後、一条天皇の后の彰子につ かえ、藤原道長に大変かわいがられたそうです。また、「源氏物語」の 著者で、他に「紫式部日記」も書きました。これは中宮が土御門邸(つちみかどてい) に戻ってから皇子が誕生するまでが書かれていて、当時を知る上で重要な資料となっています。