59番
出典:「後拾遺集」より
やすらはで
寝
ね
なましものを
小夜更
さよふ
けて
かたぶくまでの
月
つき
を
見
み
しかな
赤染衛門
あかぞめえもん
■口語訳
あなたが、おいでになるなんておっしゃらなければ、私はた めらわずに寝てしまったのに。あなたの言葉をあてにして待 ち続け、とうとう月が西の山に沈むまで、眺めてしまったのよ。
■作られたワケ
赤染衛門の妹が、藤原道隆が今夜来くると約束したと赤染衛門に言いました。しかし、道隆はやって来なかったので、 妹のかわりに詠んだ歌です。
■作者のプロフィール
赤染衛門(?〜?)
赤染衛門 は、右衛門尉赤染時用(うえもんのじょうあかぞめときもち)の 娘で、おおえのまさひらと結婚しました。赤染衛 門自身は、幸福な妻であり、母でした。