61番
出典:「詞花集」より
いにしへの
奈良
なら
の
都
みやこ
の
八重桜
やへざくら
今日
けふ
九重
ここのへ
に にほひぬるかな
伊勢大輔
いせのたいふ
■口語訳
昔の奈良の都で咲き誇っていた八重桜が、今宮中で美しく咲き誇っている。
■作られたワケ
この歌は、奈良の八重桜が宮中に送られた時、この桜を 題にして歌を詠むように言われた時のものです。
■作者のプロフィール
伊勢大輔(?〜?)
伊勢大輔は、代々伊勢神宮の神官をつとめる家がらに生まれ、一条天皇の后の彰子につかえました。この歌で和歌の 才能を認められ、筑前守高階成順(ちくぜんのかみたかしなのなりのぶ)と結婚しました。しかし、父や夫に死なれ た後、出家したといわれています。