64番
出典:「千載集」より
朝
あさ
ぼらけ
宇治
うぢ
の
川霧
かはぎり
たえだえに
あらはれわたる
瀬々
せぜ
の
網代木
あじろぎ
権中納言定頼
ごんちゅうなごんさだより
■口語訳
ほのぼのと夜が明けるころ、宇治川に立ちこめた川霧が、 とぎれとぎれに晴れてきて、しだいに川一面に現れてく る、浅瀬に仕掛けられた、網代木(あじろぎ)よ。
■作られたワケ
ある日、定頼は朝早く宇治川のほとりを歩いてた時に作ったものです。
■作者のプロフィール
権中納言定頼(995〜1045)
権中納言定頼は、大納言藤原公任(だいなごんふじわらのきんとう)の子で父の血をうけて、才能豊かな人でした。
宇治は、「源氏物語」の宇治十帖(うじじゅうじょう)の舞台となったところで、当時の貴族の別荘地でした。