72番
出典:「金葉集」より
音
おと
に
聞
き
く
高師
たかし
の
浜
はま
の あだ
波
なみ
は
かけじや
袖
そで
の ぬれもこそすれ
祐子内親王家紀伊
ゆうしないしんのうけのきい
■口語訳
うわさに高い、高師の浜の、むなしくよせてはかえす波が、 袖に濡れないようにしましょう。
袖が濡れては大変ですか ら。移り気と、うわさの高いあなたに、思いをかけること もしますまい。
涙で袖が濡れると、困りますから。
■作られたワケ
移り気とうわさのたかい人に思いをよせられ、断るときにこの歌を作りました。
■作者のプロフィール
祐子内親王家紀伊(?〜?)
祐子内親王家紀伊は、後朱雀天皇(ごすざくてんのう)の皇女の祐子内親王につかえました。高師の浜は、現在の大阪府堺市の海岸で、 今は埋め立てられていますが、かつては遠浅の美しい海岸でした。