74番
出典:「千載集」より
うかりける
人
ひと
を
初瀬
はつせ
の
山
やま
おろし
はげしかれとは
祈
いの
らぬものを
源俊頼朝臣
みなもとのとしよりあそん
■口語訳
私に冷たかった人がなびいてくれるよう、初瀬の観音にお祈りしたのだが、初瀬の山おろしの風よ…。
おまえのように あの人の冷たさがいっそう激しくなれとは祈らなかったも のを。
■作られたワケ
ある日、権中納言俊忠(ごんちゅうなごんとしただ)の屋敷 で歌会が開かれました。その時、この辛かった恋の思い出を歌に 詠みました。
■作者のプロフィール
源俊頼朝臣(1055〜1129)
源俊頼朝臣は、大納言経信の子で、父の新しい歌の読みぶりを、さらに新しくして、のちの時代に大きな影響をあたえました。 初瀬は現在の奈良県桜井市にある長谷寺です。