81番
出典:「千載集」より
ほととぎす
鳴
な
きつる
方
かた
を ながむれば
ただ
有明
ありあけ
の
月
つき
ぞ
残
のこ
れる
後徳大寺左大臣
ごとくだいじのさだいじん
■口語訳
ほととぎすの鳴き声が聞こえた方角に目をやると、その姿はもう見えず、ただ明け方の月が、 空に残っているだけだった。
■作られたワケ
昔の歌人は、ほととぎすの歌を作るために明け方までずっ と起きていました。この歌も、こうして作られました。ほ ととぎすの歌は数多くあります。(本当に明け方まで待って作っていたそうですよ)
■作者のプロフィール
後徳大寺左大臣(1139〜1191)
後徳大寺左大臣は、
藤原実定
ふじわらのさねさだ
のことです。祖父も徳大寺左大臣だったので、 区別して、後徳大寺左大臣 と呼ばれました。平家の全盛時代に生きたので、わざわざ平家の守り神 の厳島神社に参詣して、昇進したといわれています。