85番
出典:「千載集」より
夜
よ
もすがら
物思
ものおも
ふ
頃
ころ
ころは
明
あ
けやらで
閨
ねや
のひまさへ つれなかりけり
俊恵法師
しゅんえほうし
■口語訳
恋人の冷たさを恨んで、一晩中思い、嘆いている。この頃 はなかなか夜が明けなくて、朝の光が射し込んでこない、 寝室の隙間まで無情に感じられるよ。
■作られたワケ
俊恵法師は、白河にある僧坊を
歌林苑
かりんえん
と名づけ、歌人を集めて歌会を開いていました。ある日、ある 人が明日の御所の歌合せの歌で悩んでいたので俊恵法師が 作ってあげたものです。
■作者のプロフィール
俊恵法師(1113〜?)
俊恵法師は、源経信の孫で、
源俊頼朝臣
みなもとのとしよりあそん
の子です。
京都の白河の自分の家で、よく歌合せを開きました。この歌は、女性の気持ちに なって詠んだものです。