88番
出典:「千載集」より
難波江
なにはえ
の
芦
あし
のかり
寝
ね
の ひと
夜
よ
ゆゑ
みをつくしてや
恋
こ
ひわたるべき
皇嘉門院別当
こうかもんいんのべっと
う
■口語訳
難波の入江に生えている、芦をかった根の一節のような短 い旅の一夜をあなたと寝たばっかりに、私は一生この身をささ げつくして、あなたを恋しなければならないのだろうか。
■作られたワケ
ある日、
右大臣藤原兼実
うだいじんふじわらのかねざね
の屋敷で、歌合せがありました。別当は、女のひたむきな恋の 気持ちを歌い上げました。これがその歌です。
■作者のプロフィール
皇嘉門院別当(?〜?)
皇嘉門院別当は、
崇徳院
すとくいん
の皇后で、皇嘉門院とよばれた人につかえ、別当という役職についていた女性です。
難波江は、現在の大阪市の入江で、かつては今よりももっと奥深く入りこんでいました。