89番
出典:「新古今集」より
玉
たま
の
緒
を
よ
絶
た
えなば
絶
た
えね ながらへば
しのぶることの よわりもぞする
式子内親王
しょくしないしんのう
■口語訳
私の命よ、絶えるなら絶えてほしい。このまま生きながらえ ていたら、胸の思いをこらえて、耐えている力が弱まって、 秘めている思いが世間に知られてしまうかもしれないから。
■作られたワケ
俊成の子定家が家司として内親王家につとめることになっ ていました。やがて俊成にかわり定家が内親王に歌を教え るようになりました。すると、いつの間にか内親王の胸の 中に恋が芽生えていました。しかし、神に仕える身なので 苦しみ、この歌を作りました。
■作者のプロフィール
式子内親王(?〜1201)
式子内親王は後白河天皇の皇女で、京都の賀茂神社で、斎院(賀茂神社に仕える未婚の皇女)をしていた ことがあります。
藤原俊成
ふじわらのしゅんぜい
に歌を教わり、「新古今和歌集」を代表する女性 歌人です。