90番
出典:「千載集」より
見
み
せばやな
雄島
をじま
のあまの
袖
そで
だにも
ぬれにぞぬれし
色
いろ
はかはらず
殷富門院大輔
いんぷもんいんのたいふ
■口語訳
悲しみの涙で色が変わってしまった私の袖を、あなたにお 見せしたいものです。
あの雄島の漁夫の袖でさえ、毎日の 水しぶきに濡れていても、ちっとも変わらないというのに。
■作られたワケ
この歌は、「
後拾遺集
ごしゅういしゅう
」にある源重之の歌から作りました。
■作者のプロフィール
殷富門院大輔 (?〜?)
藤原信成の娘。後白河上皇の皇女、
殷富門院亮子
いんぷもんいんのすけこ
に仕えました。この殷富門院亮子は、 式子内親王の姉です。殷富門院大輔は優れた女流歌人で、定家とも親しかったようです。
また、西行・
寂蓮
じゃくれん
・
小待従
こじじゅう
らとも歌のやりとりをしています。