91番
出典:「新古今集」より
きりぎりす
鳴
な
くや
霜夜
しもよ
の さむしろに
衣
ころも
かたしき ひとりかも
寝
ね
む
後京極摂政前太政大臣
ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん
■口語訳
こおろぎがしきりに鳴いている。白々と霜ののおりているこ の寒い夜を、寒々としたむしろの上に私は着物の片方の袖を 敷いて、一人寂しく寝るのだろうか。
■作られたワケ
歌合せでつくった歌です。
■作者のプロフィール
後京極摂政前太政大臣(1169〜1206)
後京極摂政前太政大臣は、九条良経(藤原良経)のことです。
関白兼実
かんぱくかねざね
の子で、従一位摂政太政大臣にのぼり ました。和歌を
俊成
しゅんぜい
と定家に学び、歌人としても有名。
「新古今集」の選者となり、仮名序を書きました。
しかし、三十八歳で急死しました。