94番
出典:「新古今集」より
み
吉野
よしの
の
山
やま
の
秋風
あきかぜ
小夜更
さよふ
けて
ふるさと
寒
さむ
く
衣
ころも
うつなり
参議雅経
さんぎまさつね
■口語訳
吉野の山から吹きおろす秋風に、夜もしだいに更けてきて、昔、都があったこの里のあたりには、衣をうつ
砧
きぬた
の音が、寒々と身にしみて聞こえてくることだ。
■作られたワケ
ある貴族の別荘で歌会がありました。その題は、「衣をうつ心」という題でした。その時、雅経は、「古今集」の歌から作 りました。
■作者のプロフィール
参議雅経(1170〜1221)
参議雅経は、藤原雅経ののことです。
刑部卿頼経
ぎょうぶきょうよりつね
の子で、
従三位参議
じゅさんみさんぎ
にまでのぼりました。和歌を
俊成
しゅんぜい
に学び、「新古今集」の選者の一人です。
蹴鞠
けまり
の名人で、 和歌と蹴鞠の家・飛鳥井家をおこしました。