97番
出典:「新勅撰集」より
来
こ
ぬ
人
ひと
を まつ
帆
ほ
の
浦
うら
の
夕
ゆふ
なぎに
やくや
藻塩
もしほ
の
身
み
もこがれつつ
権中納言定家
ごんちゅうなごんていか
■口語訳
いくら待っても訪れてこない恋人を毎日毎日待ちこがれて いる私は、あの松帆の浦で夕なぎの頃焼くという藻塩の ように、燃え盛る恋の思いにやかれて、身もこがれるほど に苦しんでいるのです。
■作られたワケ
権中納言定家は、百人一首のうち九十九首まで選び終え ました。しかし、あと自分の歌が決まらないので、ある 女の人に訊いてみると「藻塩の歌」がいいというので、 この歌にしました。
■作者のプロフィール
権中納言定家(1162〜1241)
藤原俊成の子。14歳で高倉天皇に仕え、正二位権中納言にまですすみました。
平安時代の 末期を代表する歌人で、「新古今和歌集」や「百人一首」の選者です。日記に「名月記」が あります。