合掌造りとは茅葺の屋根でできた、岐阜県・富山県に見られる建築様式です。屋内は多層化しており(下記の写真参照)、1階は生活の場、2階以降は物の貯蔵、寝室、蚕室として使われた。1階の東にドジとシャシがあり、その南にヘンチャ、西向きにマヤ、ウスナワ、ミンジャとその脇にスウルをいう構成になっている。
また、中にあがると部屋の真ん中にユルを持つオエ、そしてダイドコがある。ダイドコの北にはチョウダ、その奥にオクノデイ、オクノチョウダと続く。デイ、そしてナイジンの東にはエンノマが付けられている。オエの北側にはデイ、ナイジン、仏壇がある。
図にすると以下のような配置となる。
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エンノマ |
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オクノチョウダ |
オクノデイ |
ナイジン |
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チョウダ |
デイ |
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シャン |
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ダイドコ |
オエ |
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ドジ |
ミンジャン |
ウスナワ |
マヤ |
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ヘンチャ |
アマ
2階。蚕室、茅や食料の貯蔵、歌人の寝室に使われた。
囲炉裏
床を四角く切って、傍観や煮炊きのために粗朶などを炊くようにしたところ。
煙や煤は2階からスノコを抜け、屋根裏まで運べるよう工夫がされている。
煙には殺虫効果があり、またススは建材を強くする働きを持つ。
ウスナワ
臼がある作業場。ニワとも呼ばれる。隣にはミンジャがある。
オエ
居間兼応接間。ダイドコより格式が高く、畳が敷かれている。
火の粉が飛び散るのを防ぐため、また部屋全体を暖めやすくするために
囲炉裏の上に板が掛けられている。
オクノチョウダ
家長の寝室
オクノデイ
客のための寝室。裕福な家にしかない。
階段
アマに上がるためにある。梯子だけがかかっていたり、
手摺の代わりにロープが使われていたりする。
茅
合唱造りの屋根に使われている。秋に刈り取り、円錐のような形で積み上げ、
春の屋根の吹き替え時に持ち出される。
シャシ
取次ぎ場
スウル
風呂場。お風呂から上がると仏前に合掌をした。
ソラアマ
3階。アマと同じ機能を持つ。
ダイドコ
台所兼食堂。家族の集まる居間でもあり、オエしかない家も存在する。
タナ池
融雪用の池。屋根から下ろした雪が、1階部分を塞がないよう、
雪を入れて溶かす。
チョウダ
女性たちの寝室。(帳台という単語が変化したもの)
妻
入母屋(廂状に張り出した屋根)。屋根の障子が雨にぬれて痛むのを防ぐために
出ている。
デイ
オエの隣にあり、蚕室、農作業、冠婚葬祭に使われた。
テンコアマ
4階。アマと同じ機能を持つ。
ドジ
玄関
ナイジン
仏壇が置かれた場所。白川・五箇山地方では浄土真宗が進行されていて、
この部屋は隣の部屋(デイ)で朝夕読経が行われていた。
ヘンチャ
約1坪の大きさ。冬の排泄物を保管するのに利用。(夏は田畑の肥溜め)
マタダテ
合唱造りの原形。
マヤ
馬屋。昔は馬を飼う家が多く、土間に設けられた。
現在マヤを持つ家屋は減少している。
ミンジャ
炊事場
ユル
囲炉裏。
←窓に注目すると多層化しているのが分かる。