帰化動物 



 「帰化動物」という言葉を聞いたことがありますか?
帰化動物とは本来の生息地から別の場所で自然繁殖して定着してしまった動物のことです。
ではなぜ本来の生息地ではなく別の場所に居るのでしょか。
それは私達人間のせいなのです。
人間が安易に動物を飼ってしまうので、手に負えなくなり捨ててしまうのです。
こうやって帰化動物が増えてしまうと生態系にはいろいろな影響を及ぼされます。
まず帰化動物と在来動物の交雑が進み、純血種の在来動物が絶滅してしまいます。
他にもどこからやってきたかわからない見知らぬ病原菌が広がる恐れがあります。

対策は?
 ●「ワシントン条約」「家畜伝染予防法」「狂犬病予防法」「感染予防法」などで輸入を制限する
 ●「動物管理法」で飼育と保管を義務付ける


 では日本の帰化動物には主にどのようなものがいるのでしょうか?
アライグマ
 生息地:アメリカ
 みなさんもご存知の「あらいぐまラスカル」。
 この影響でアライグマを飼う人が増えました。
 しかし、成長すると気性が荒くなるため手に負えなくなり、たくさんのアライグマが捨てられました。
 その結果、畑荒らしなどの被害が広がり、環境庁の狩猟鳥獣リストに加えられ駆除されることになってしまいました。

マングース
 生息地:東南アジア・インド中東・アジア
 あのハブを食べるという動物です。
 沖縄ではショーも行われています。
 1910年にハブ退治のためインドから輸入され、沖縄本島に放されました。
 しかし、実のところマングースはハブの毒に対する免疫があるだけで、ハブはあんまり食べません。
 そのかわり家畜や他の野生動物を襲い始めたので駆除されることになりました。


ラージマウスブラックバス
 原産国:北米 
 釣り番組でよく見る川の魚です。
 学術研究のためにアメリカから運ばれ、芦ノ湖に放流されました。
 主に沼、湖で活動し、元からそこにいた魚を食べてしまいます。
 そのせいで意見は駆除するという駆除派と、バス釣り場を設けようという擁護派の二つに分かれています。
 釣った場合、不味くないので食べてしまうのがお勧めです。
 (寄生虫がいるかもしれないのでしっかりと日を通しましょう!)

ヤギ
 産国:イラン 
 意外かもしれませんが、ヤギも帰化動物なのです。
 でもこの場合のヤギとは農家などで飼育されているものではなく、野生のものです。
 1920年ごろ、小笠原諸島に放牧されたのが始まりでした。
 野放しにしていたためにヤギが植物を食い荒らし、荒廃が進んでしまいました。
 2000年、本格的に駆除が始められました。

タイワンザル
 原産国:台湾
 動物園の閉園によって野生化してしまいました。
 そしてある日、タイワンザルとニホンザルの混血が見つかったのです。
 このままでは純血のニホンザルが絶滅する恐れがありました。
 そのため薬殺処分されることになったのですが、動物愛護団体は避妊手術をして一代限り生かす方法を提案しました。

チョウセンイタチ
 原産地:シベリア、中国、インド北部、東南アジア、朝鮮半島
 毛皮を売ることを目的に連れてこられました。
 しかし他に比べて良い毛皮が取れないため、捨てたのが野生化したきっかけです。
 そして食べ物の盗み食いなどの被害が増えてしまいました。
 現在ではメスは捕獲禁止になっていますが、オスは毛皮のために捕獲されます。

スクリミンゴガイ
 原産国:南米アルゼンチン
 食用として持ち込まれ養殖されますが、おいしくなかったので失敗に終わりました。
 それが捨てられ野生化し、稲の苗などを食い荒らすという問題を引き起こしています。
 対策としては、稲を水中に引き込んで食べるので、水深を浅く保って引き込ませないようにする「浅水管理」が有効的とされています。
 雑草も食べるため、雑草除去を目的に利用しようと提案されています。

タイワンリス
 原産国:台湾
 1930年代に台湾から動物園での見せ物目的で連れてこられました。
 しかし終戦の混乱によって逃げ出し、野生化してしまいました。
 そして木の皮、電話線をかじられるなどの人里での被害が増えてきました。
 原因として人間の餌付けが考えられます。
 どの動物にも言えることですが、野生動物の餌付けはあまりいいことではありません。
 (公園のハトなんかがいい例です。)

ミシシッピアカミミガメ
 原産地:北米南東部
 ペットショップで売られているあの小さなかわいいミドリガメ。
 実はそれはこのミシシッピアカミミガメの子どもなのです。
 1960年代にアメリカから大量輸入されましたが、サルモネラ菌を持っているカメがほとんどなので食中毒などが起こってしまいました。
 しかも成長すると気性が荒くなるので手に負えなくなり、捨てられました。
 そして汚れた水に強く、どんな環境でも生きていけるので繁殖が進んでしまったのです。

ウシガエル
 原産地:北米
 養殖目的でアメリカから連れてこられ、「食用ガエル」として料理店で使われるが、売れませんでした。
 しかしアメリカではカエル料理が盛んなので、逆輸出をすると大成功したのです。
 そのための養殖場から逃げ出したウシガエルが野生化してしまいました。
 でも現在では医療研究などに役立っています。

アメリカザリガニ
 原産地:アメリカ南東部
 あのザリガニも帰化動物です。
 日本には日本のザリガニがいます。
 ウシガエルの餌として連れてこられましたが、養殖場から逃げ出た後、原産地と環境が似ていたので繁殖し、野生化してしまいました。
 害虫を食べてくれるので最初はよかったのですが、稲などを荒らし始め、駆除命令が出されました。
 しかし、今は環境汚染によって数が減っています。

ハクビシン
 生息地:カシミール地方、インドネシア、ベトナム、タイなど
 頭から鼻先に白い筋があるのが特徴の動物です。
 通称は「雷獣」。
 もとは毛皮用として輸入されたのですが、毛皮が思うように売れなかったので捨てられ野生化してしまいました。
 その他にも動物園にいたものが戦争の混乱に乗じて逃げ出したり、東南アジアの船員が飼っていたものが逃げ、野生化しました。
 しかも雑食性で、店の商品などを盗み始めたため問題になっています。  


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