三年後。


シノカントは、今日もユーカラを謡います。
集落の子供達は、シノカントを囲みながら彼の声に耳を傾けています。
子供達の目はキラキラと輝き、ユーカラに聞き入ってるようでした。

また。
レラも、その声に耳を傾けていました。
腕の中には、幼い赤ん坊。

シノカントは、命ある限り謡い続けるでしょう。
シノカントが謡ったそれは、子供達に受け継がれます。
さらに、その子供達の子供達にも受け継がれ、
いつまでも続いていきます。
いつまでも、アイヌは謡います。

 
 



生きる指針となった、そのユーカラ達を。


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