「銀の滴降る降るまわりに」についての考察

この物語は「アイヌ神謡集」の中で一番最初に置かれ、他の12話よりもずば抜けた
長編になっています。他の物語と平均すると3倍近くも長いものになっています。
なぜ、この物語だけなぜそのように特別なものになっているのでしょう?
それは偶然なのでしょうか。
それとも、何らかのメッセージが秘められいるのでしょうか。
物語の幾つかを抜き出し、考えてみましょう。

子供達が小さな弓と矢で遊んでいる場面は覚えていますよね?
小さな弓矢での遊びは、将来、大人になってから実際に行う狩猟の準備も兼ねて
いるのです。
シマフクロウの神様はどうしていましたか?
お金持ちの子供の金の小矢を受け取りませんでした。

ここで1つ。
人間が矢を射て「命中する」ということは、実は、神様である動物が「自らの意思で
手を差し出してその矢を受け取る」ことだと考えられていました。
また、神様は、常に行いの正しい人の矢を受け取りたいと願っているとも考えられて
います。要するに、この場合、神様はこの子供を嫌ったわけです。

ススム