「コンクワ」についての考察

これは、年老いたシマフクロウが自ら語った物語です。シマフクロウは、村の神様と
呼ばれていて、常に人間たちが食糧に恵まれて生活できるように見守るのがその役割です。
その役目にどれほど一生懸命なのか、この物語から伝わってくることでしょう。

神様は、みな役割を持ってこの世(人間界)に降りてきています。シマフクロウは、その大き
な目で人間の村に魔が入らないように見張り、人々が飢えないように見守るのが最大の役目
となっています。また、フクロウの特徴は夜でも目が見える点です。その大きな目で暗闇を
見透かし、闇の中にいるといわれている魔物が村に入り、病気や上を撒き散らさないように
見張っていること、それが一番の役割なのです。

現在、北海道のシマフクロウは減少して危機的状況にあります。これは、森や川が荒れて生物
がはるかに少なくなったことと関係があります。翼を広げると2メートルもあう巨大なシマフ
クロウは、森の豊かさを体現する存在です。すなわち、シマフクロウが村にいるということは、
それだけ森が豊かであるということが考えられます。
村が豊かであるということは食糧が豊富ですよね。
アイヌ民族は、このような見方からシマフクロウを神と崇めたのです。

そして、この物語の最大のテーマは、
食糧となるものに人間はどのような態度で臨まなければならないかを伝えることです。

モドル