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目の構造
■ 硝子(しょうし)体  

硝子体は眼球の内部の大部分を満たしている無色透明の,卵白よりやや固いゼリー状のもの(透明なゲル)で99%が水です。

硝子体は水晶体の後ろに接し,眼球の奥では,一部で網膜とくっついていますが,ほとんどは軽く網膜と接しているだけです。

役割としては,眼球の形を保つと同時に,入ってくる光を屈折させます。


■ 網膜  

網膜とはカメラでいえばフィルムにあたりますが,10層からできているとてもうすい膜で,厚さは中央部で0.3mm〜0.4mm,周辺では0.15mmです。

視細胞には,桿体と錐体とよばれる二種類の細胞があり,桿体はうす明かりを感じ視力はよくなく,錐体は明るいところではよく感じ,色を見わけ,視力のよい細胞です。

光は視細胞にとどくと電気信号に変えられ,神経線維層を通って神経にいき,この信号が大脳の中枢にいってはじめてものが見えるのです。

また,網膜の後ろの中心には黄斑部があり、その中心に中心窩があります。ここには錐体のみがあり,視力のもっともよいところです。

中心窩から4〜5mm内側に,視神経が眼球壁をつらぬく視神経乳頭があり,これが盲点にあたります。


■ 盲点  

人間はだれでも,見ようとする点より耳側に視野の欠けている部分があります。これを盲点(マリオット盲点)といいます。もちろん左目,右目ともにあります。その位置は注視点の耳側約15゜のところに,幅約5゜のややたて長の楕円形として存在します。これは眼底の視神経乳頭にあたる部分です。ここには網膜がなく,視細胞がないので,光があたっても感じないわけです。マリオットとはフランスの物理学者の名前からとったものです。


■ 網膜の色  

網膜は眼底鏡(直像鏡,倒像鏡)という器械で見ると簡単に観察できます。しかし,網膜そのものは透明であるため,見えるのは網膜色素上皮と脈絡膜の色素に含まれるメラニン色素,および,脈絡膜血管の血液の色が重なり合って赤かっ色に見えます。白色人種では,メラニン色素が非常に少ないので,脈絡膜がよく見えてあわい紅色でかがやいて見えます。


■ 暗順応、明順応  

たとえば,明るいところから急に暗いところへ入ると,はじめは何も見えないのにしばらくすると,だんだんと見えてきます。このように暗い中で目がなれてくるのを暗順応,その逆を明順応といいます。これは,網膜にある視細胞の桿体,錐体の働きによって決まります

(1)暗順応 一 暗いところでは桿体が中心になって働きます。この桿体は、黄斑部から離れるにしたがって、網膜のまわりに多くなり、視角の20〜30°にあたる部分に最も多くあります。また、視力にはあまり関与しません。桿体細胞には,ロドプシンとよばれる物質がふくまれ,光があたるとビタミンAに変わります。暗いところではこれと逆のことが起こります。そのため,ビタミンAが不足すると,暗いところで見えなくなる夜盲症(とり目)になるのです。

(2)明順応 一 明るいところでは錐体が中心になって働きます。この錐体は,網膜の中心部に多く,視力にすぐれています。明順応は暗順応にくらべてはるかに短時間ですみます。暗順応は30分〜1時間かかるのに対して,明順応は40秒〜1分です。


■ 視神経の場所、長さ、太さ、役割  

視神経は眼球の奥にある中心窩から4〜5mm内側にある眼球壁をつらぬく視神経乳頭を中心として出ています。視神経乳頭の直径は1.5mm,神経は,眼球内では0.7mm,眼窩内では3.0mm,視神経内で6mm,頭蓋内で15mmの太さがあります。長さは,全長35〜50mmで視交叉までの部分を視神経といいます。そして,この視神経はおよそ100万本の神経線維からできており,そのうち80%は視覚に関係し,残りの20%は瞳孔などの運動に関係しているといわれています。


■ まばたき  

まばたきには次のような役目があります。

(1)涙が角膜を等しくうるおし,清浄にして角膜を守っています。

(2)目の運動と同時にまばたきが起こり,目の運動の間に起こる“像のボケ”を感じさせないようにしています。

(3)限圧が上昇するのを防ぐために,まばたきによって房水の流れをよくします。

(4)涙を結膜のうから涙の道(涙道)へうまく流し出す働きをしています。