酸性雨



大気汚染物質である窒素酸化物や硫黄酸化物が溶け込んだ、強い酸性の 雨を酸性雨と呼んでいます。森林の枯死そのほかの被害をもたらし、 生態系に影響を与えています。
雨粒ができるためには、雨粒の核が必要になりますが、これは通常は、 チリやほこりなどです。この核が車から出る排気ガスや工場から出る 大気汚染物質なのが酸性雨なのです。硫黄の水が雨となって降って くるのです。

それでは、酸性雨の被害を見てみましょう。

まず、木を枯らしてしまいます。酸性雨に長いことあたり続けた木々は 立ったまま枯れてしまいます。
ヨーロッパ、北米、アジアと世界中で 広範囲の森林が枯れたり、何らかの影響が出ているといわれています。 そんな状況から、欧米の人々は、死亡率が非常に高く、かつて黒死病 といわれた伝染病「ペスト」になぞらえて、酸性雨のことを「緑のペスト」 とよんでいます。

酸性雨の被害は森ばかりではありません。湖や沼にも多くの影響が出ています。
酸性雨が降りそそぐことから、湖沼が次第に酸化していき、魚が激減したり、 死滅するという被害が欧米を中心に広がっています。
1952年、ロンドンで発生した霧によって、約4000人もの死者が出て しまいました。さらに1956年の1月、1957年の12月にも同様の 酸性霧が発生し、1000人以上の死者が出ました。これらの事件は、 ロンドン・スモッグ事件といわれています。

日本でも1974年7月5日に、関東一帯に「目が痛い」との被害が続出 しました。このときの雨は霧雨で、かさがなくても何とかなるくらいのもの でした。じつはこの霧雨というか、ぱらっと降る、かさがなくても走れば 何とかなりそうな降り始めの雨の方がどしゃ降りの雨よりも酸性度が高いのです。