|
オリオンは空へ上ったあと、天上のならわしが人間界とは違うことを知りました。
妻はそれを一つ一つ教えるのですが、オリオンはなかなか覚えません。
飯は一粒ずつ針でさして食べなければならないのに、 つい手づかみで口に入れてしまい妻を失望させました。
あくる日から、オリオンは木を倒す仕事を言いつけられました。
妻は「天の木は、その根にオノの刃を向けるだけで倒れるから、
決してオノを打ち込んではいけない」と繰り返し教えてやりました。
けれどオリオンはまたそれを忘れてオノを打ち込んでしまいました。
天上のおきてを破ったむくいで、大木がオリオンの方へ倒れてきて
左肩に当たり、左手が不自由になりました。
これですっかり怯えてしまったオリオンは、妻がのばした
豆のつるにすがって、人間界に帰っていきました。
そして死んでからまた空に上ってオリオン座になったといわれています。
|