AUTOMOBILE
バイオ燃料とは、植物性の物質を利用して作られる自動車用の燃料のことです。よく揚げ物をするときに出る廃油を使って作られます。そのままエンジンで燃やしたり、化石燃料系のガソリンや軽油と混ぜて利用されることもあります。海外では、米国でガソリンと9:1で混合した「E10燃料」にバイオエタノールを使ったり、EU諸国では、バイオディーゼルの利用が進められています。
日本でも、1993年の滋賀県愛東町での取り組みから始まり、最近ではバイオディーゼル燃料の利用が全国的に広がっています。多くは、主に菜の花を原料とする廃食油を利用しています。1998年から滋賀県環境生活協同組合が「菜の花エコプロジェクト」を開始しました。「菜の花エコプロジェクト」では、かつて滋賀県内で1万ヘクタール以上つくられていた菜の花の栽培を復活し、そこから搾られる菜種油を食用として利用しました。そして、回収した廃油をバイオディーゼルに精製して、石油に代わる自動車や船舶の燃料として利用するのです。このプロジェクトはドイツに習って作られたもので、ドイツでも菜種油からつくったバイオディーゼル燃料が広く使われています。
バイオ燃料のメリットは、有害物質が出にくく、二酸化炭素もほとんど排出しないことです。有害物質が出ないのは、植物の油から作られているので、石油に含まれているような硫黄酸化物がないためです。また二酸化炭素が排出されにくいのは、光合成を行って成長する植物を原料としているからです。つまり、光合成の段階で二酸化炭素を吸収しているので、燃やしたときに二酸化炭素が排出されにくいのです。また、太陽と水があれば育成可能な植物は、枯渇が心配されている化石系原料よりも使い続けることができる原料として注目されています。バイオディーゼルは硫黄酸化物や黒煙をほとんど排出しない上に、現行の自動車や船舶のディーゼル機関を改造せず使用できるという利点があります。
反対にデメリットは、ガソリンと比べて価格が高くなることです。そのため価格の低減が必要となります。また貯蔵タンクなどの供給するシステムや車両を、アルコールに対応できるように改良しなくてはなりません。アルコールによる金属の腐食や、水混入による成分の分離を回避するために封密性を高めるなどの対策も必要です。 排ガスについては、ガソリンや軽油とは違い、アルデヒドという有害な物質が出ます。アルコール中に酸素を含むために排ガスの窒素酸化物NOxが増加するため、これらの物質を無害化するための触媒の整備が必要になります。また運転性能については、ガソリン車と比べると発熱量が小さいので燃費が悪く、蒸気圧が低いので寒いところでのエンジンのかかりがよくないことです。しかし、これらの課題を克服していけば、古い車に対する環境の対策が進んでいくでしょう。
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